電気料金制度が変わった!2025年4月の燃料費調整と市場価格調整項の改定とは? 5年ぶりに書く現場目線の電力コスト最前線

2020年以来、情報発信を控えておりましたが、2025年4月からの制度改定を受け、「これは伝えねば」と再び筆を取りました。

今回の改定は、単なる数字の調整ではありません。
「固定単価=安心」という常識が通用しなくなる構造的な変更です。

以下では、現場で料金適正化に関わってきた立場から、制度の要点と影響、そして今後どう備えるべきかを解説します。

【1】燃料費調整制度とは?そして何が変わったのか?
もともと電気料金には「燃料費調整額」が加わっています。
これは、発電に使う原油・LNG・石炭などの国際価格の変動を、毎月の電気代に反映させる仕組みです。

ところが2025年4月、次の2点が大きく改定されました:

1-1)係数の引き上げ(17.4銭 → 19.0銭)
基準単価が1,000円上がるごとに加算される金額が 17.4銭→19.0銭 に。
つまり、以前より燃料価格の影響が電気代に反映されやすくなったということです。

1-2)基準燃料価格の引き下げ(57,500円 → 49,800円)
一方で、基準となる燃料価格は2020年レベルに引き下げられました。
これは、短期的な円高やエネルギー価格の下落によるものですが、将来的な再上昇リスクは十分にあります。

【2】市場価格調整項という“第2の燃料費調整”が新設
2025年4月から新たに「市場価格調整項」という制度が加わりました。
これは、JEPX(日本卸電力取引所)の電力価格が一定水準(関東で12.64円/kWh)を超えた場合に、契約の種類に応じて電気料金に加算されるという仕組みです。

固定単価契約でも“自動で”上がる!
これが非常に重要な点ですが、固定単価契約であっても、この市場価格調整項は自動で適用されます。

つまり、従来の「固定なら安心」という考え方は制度的に崩壊しつつあるのです。

【3】なぜこの変更が問題なのか?
一言で言えば、「価格が上がっても誰も教えてくれない」構造だからです。

制度は変わったのに、周知が不十分

固定契約でも値上がりするが、事前に気づけない

市場連動型との価格差が実質的に縮小している

結果として、“安心のつもりで固定を選んだ人ほど損をする”リスクが高まっています。

【4】どう対応すべきか?結論として伝えたいこと
今後は“固定=リスク回避”ではなく、“契約の中身”を選ぶ時代

市場連動型の中でも「ベーシック」など緩やかなプランが登場している

電力会社任せではなく、自社で価格を監視する意識が必要

そして何より、今回の制度改定は「知らなかった」では済まない規模です。

安く見えるものに飛びつかず、毎年より多くの会社やプランを見比べることが安心につながります

【最後に】
5年ぶりのブログで、堅い話になってしまいましたが、
この制度改定が多くの施設や中小企業にとって「気づかぬまま損をする」ものにならぬよう、
これからも、現場目線で情報発信を続けていきます。

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